ゲラ刷り校正(第1回)の経過(1)

 

以前、大手の出版社から単行本を出したときに聞いていたことは、編集者という職業の方は、一冊の本造りに関して絶大な権限を持っているということでした。また、そのことは、その当時、編集の過程を通していろいろなところで納得させられたものです。

 

今回もいろいろと感心させられたところが数多くありました。一つ二つを列挙しますと、

1 本の末尾に書いてある編著者、吉村、丸山のすぐ下に、校正者の名前が記されていたことでした。及川誠、関沼幸枝の両氏です。

最近、送り返されてきたゲラ刷り(第1回)を拝見しますと、推測の域を出ませんが、関沼氏は文字の統一を、及川氏は、この本の中で気軽に引用したすべての絵本や紙芝居の裏を取っていただいたのではないかと思われます。

 

具体的に、申し上げますと、“八幡のこども動物園”は“八幡の子ども動物園”であるとか“梅小路機関車館”は“梅小路蒸気機関車館”であるとか、教材関係では、地震に関した童心社の紙芝居“稲村の火”は“いなむらのひ”であるとか、“”“”“”“”“”“”“”などのご指摘があったことでした。幼児教育者の間でここまで考えている方は少ないのではないでしょうか。

 

2 その他、最高にびっくりしたことは、“お母さん”の歌の歌詞の中に“おかさん ていいにおい”というところがあるのですが、これを私たちは“おかあさんっていいにおい”であると思い、歌わせていたのでした。早々に、歌詞を確認しますと、確かにその通りです。小さい“っ”はありません。“ここまでやるか”と感動するとともに、プロという言葉を再認識しました。

 

以前に“しょうじょうじのたぬきばやし”などで話し合っていただけに、童謡の作詞者と作曲者の間には、このような細かな思いが籠もっているのかと、改めて感動するとともに、“裏をとる”という言葉は、事件記者や新聞記者だけの世界ではなく、信用ある仕事はかくも厳しいものかと思った次第です。

 

お二人には、随分お世話になったこと、プロとしての厳しさを教えていただいたこと、この紙面を借りて厚くお礼申し上げます。                                                                                                                                                                                                                                            園長