不思議の種

今日、職員室で絵本を読んでおられた園長先生。最近、興味のある作家の絵本や、お薦めの絵本を教えてくださることがあるのですが、今日は少し趣旨の違う紹介の仕方をしてくださいました。

満3歳のいちご組で読んでいる「きんぎょが にげた」。ページをめくるたびに、どこかに擬態しているかのように見えるきんぎょが、どこにいるのかを探すのが楽しい絵本なのですが、このなかで、気になるページがある・・・とのこと。「どこですか?」とお聞きすると、開かれたのは鏡のページ。

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「鏡の前にいるきんぎょ、本当に三面鏡にこんな写り方をするのですかね」

そう言われてみるとやってみたくなるので、年少組の部屋にあるサーモミラーを持ち寄り実験をすることに!

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頭の固い大人なもので、鏡といえば正面に向くと思って初めは目のある方を写し、

「あれ?絵本と違うなあ…」「あ、きんぎょは私たちの方を向いているから後姿が正面に写っているのか」

「ええっ!?」「鏡に写る向きが違ーう!」「絵本、間違ってる?」

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上の絵本と見比べてください! ⤴

 

どうです?きんぎょちゃん、鏡にみんな、同じ方を向いてるーー!

 

絵本、間違ってる!?

 

いえいえ、鏡の角度を内側へ寄せていくと・・・

 

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ほら! わかりますか?

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理系の脳をお持ちの方からすると「・・・え?」と思われるかもしれませんね。

でも、“本当かな?”という視点で絵本を見て、試して楽しかったです。なんでかな?こうしてみたら・・・と考えて、なるほど!になったときに面白い!と感じた子どもは、ピコッと科学の芽が顔を出すのかもしれませんね。

絵本に載ってるんだから正しいに決まってる、と思わずに、“やってみよう”と思ったのは、園長先生の著書「子どもの心とからだを育てる」に、絵本の改訂や乱丁について書かれていたのを思い出したからです。有名な「モチモチの木」の絵本ですら、事実と違う描写ゆえに改訂があったそうなのです。

今までは絵をそのまま見るだけでしたが、違う角度から見るのも面白いなあとしみじみと思ったのでした。

 

全く話は違いますが、今回の絵本のブログを書いているなかで、先日たまたま見たテレビのことを思い出しました。

それは「探偵ナイトスクープ」という番組なのですが、「右回り」というテーマの放送だったのです。

お正月に家族でトランプをしていて、お父さんだけが右回りを時計回りと言い張り、他の家族は反時計回りが右回りで、お父さんが疎外されて困る・・・という話でした。お父さんから探偵さんに依頼です。

「答え、知ってる~♪」とテレビの前で叫びましたが、広野幼稚園の先生は全員、答えを知っています。このお父さんのように、集団あそびの時に疎外感を覚える子どもがいないように、20年以上前(30年かな?)に書かれた「右回りとは?」という原稿が、今も読み継がれているのです。

保育の中で小さな疑問を持ったときに「これは果たして・・・?」と考える姿勢が、保育の向上につながるのはもちろんのこと、これからの未来に広野幼稚園の門をくぐる子どもや先生たちへ受け継がれていくのです。

そう思うと、今、している自分の仕事に光が見えてくるのだと思いました。

 

Maikka