大人は見えていない

『大人は見えていない』

 

「ねえ見て見て」

年長の女の子が手招きした。

近くに寄ってみると、

「ほらここ見て」と木の杭の間を指差した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこには、

小さな小さな双葉が、

いつの間にか芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このことは、

「自分はいつもこの場所をよく見ている」、と思っていただけに、

単に「よく発見したね」、

 とは片づけれなかった。

 

本当に「大人は何でも知っている」存在で、

子どもは「何人も知らない」存在なんだろうか。

実は、

大人には見えていなくて、

子どもには見えているものは、

たくさんあるのだろう。

それを、大人が「見えていない」のか、

あるいは「見ようとしない」のだろうか。