札幌市の「ささえつなぐ」しくみ

今日 札幌市教育委員会の幼児教育支援員の先生が2人来園されて、保育をご覧になりました。保護者の方にはお手紙を発行しましたが、これは一昨年度から札幌市が実施している、幼稚園から小学校へ子どもの育ちを「ささえつなぐ」しくみづくりの一環です。

この事業は平成16年から17年にかけて札幌市幼児教育市民会議にて議論された、今後の札幌市における幼児教育のあり方に対する答申を受けて札幌市と教育委員会が整備しているものです。この中に、市立幼稚園を研究実践園化すること。市立幼稚園のベテラン教諭に研修を積んでもらい支援員として各区に配置し教育相談や私立幼稚園の支援にあたること、などが位置づけられています。

そして、様々な体制を整備した上で、幼稚園から小学校への子どもの育ちを支援する「ささえつなぐ」しくみを整えようとするものです。この中には特別な教育的支援や配慮を要する子どもへの継続的な支援体制の充実が明確に位置づけられていて、今日、支援員の先生方に来園していただき美晴幼稚園の保育からアセスメントシートを用いて、美晴の保育者と支援員が子どもの育ちをみとり今後の保育や小学校就学ならびに小学校入学後の学校生活にいかす視点を整理しました。

この支援事業の一つに、幼稚園内に支援を要する子どもが在籍している人数に応じて一定の補助金が交付されることがあります。美晴幼稚園は補助金のための人数換算のためにアセスメントを行っているのではなく、その時点での子どもの育ちを客観的に評価し毎日の保育や就学に向けての指導の参考にすることが何よりの目的で、昨年同様、今年度も継続的に支援員の先生方に美晴での保育の様子を観ていただき、その都度、美晴で行っている支援や指導の実態が適切であったかを別の視点を交えて確認してゆきます。支援員の先生方の意見はあくまでもその後の指導計画の参考の一つとさせていただくことにしています。

美晴幼稚園には入園の段階で 何らかの医師の診断を受けている。とか、療育機関と平行通所する。といった子どもたちがいます。また、保護者の申し出により保育の中で成長・発達の実態を経過観察する子どもたちもいます。美晴は、子どもが多様であることは当然のことであり、ユニバーサルな環境と指導・支援を含めた人間どうしの関係性の中でこそ、どの子どもも「自分らしく生きるかたち」を形成してゆくのだと考えています。

残念ながら、現在の日本は特別支援教育では明かに後進国のグループに位置するといわれます。校種が上になればなるほど、閉塞性が高まるのが後進性を示すといわれますが、私は、最初の学校といわれる幼稚園の閉鎖性の方がはるかに問題だと思います。

園長 東 重満