11月2012

可塑性(かそせい)

今日 年中黄バッチグループと 年少ピンクバッチグループが陶芸をしました。

陶芸用の土粘土は可塑性(もとの状態に力を加えて変形させて一定の状態に保つこと)がある素材ですが 普段使っている油粘土とは違って 一度乾燥して固まると 再度変形させることはできない素材です。つまり一期一会の造形活動…。

朝バスの時から とっても楽しみにしていましたよ。

ある程度乾燥したら ガリバーの電気陶芸窯で焼成します。

それから こじつけるわけではありませんが 昨晩 札幌市の特別支援教育支援員研修があり 大正大学の玉井先生の講演を美晴の職員といっしょに聴きました。講演の中で乳幼児期の発達の可塑性についてのお話しがありました。

乳幼児期はヒトの生涯の中で最も著しい発達(早くて大きい変化)をする時期です。その発達のあり様は一人一人異なります(絶対無二)。大事なのは周囲がその子らしい発達の道のりを支えることです。

しかし 最近 どの子も同じ時期に同じことができなければいけない と言わんばかりの実態がありはしないでしょうか? もっと目を覆いたくなるのは 大人が力を加えればどのようなかたちにもなるのだという 思い込みで子どもをいじる? そのことに疑問を感じられない大人は ある意味で感覚がどうにかなっているのかも知れません。

子どもの陶芸は瀬戸物や磁器のように 同じ作品は絶対にできません。その日のお天気(気温湿度) 粘土の状態 その子の手の大きさ温かさの違い そしてなにより作者の意志が作品に投影されます。人間はもっとそうですよね。同じように育つことなんかありえないはず…。

そう みんなちがってみんないいんです。

変化と工夫

今朝の朝日新聞の天声人語に福島市の幼稚園の主任教諭のことばが紹介されています。

福島市の幼稚園主任、伊藤ちはるさん(40)が、園児を外に出せないつらさを福岡で報告した。「ナシ狩りもだめ、運動会、発表会など、これまでとの変化、変化、変化に、室内でどうするかの工夫、工夫、工夫でした。どうせやるなら楽しくと」

先月から 昨年末と今年のはじめに収録した、岩手県と宮城県の沿岸部の幼稚園で甚大な被害を受けた幼稚園の先生方へのインタビュー映像を 「証言」として記録映画に編集する仕事をしています。

実は 同じく福島県の先生方にもインタビューをしていますが 福島県は他県と異なり 福島第一原子力発電所の事故の影響が大きいため 今年と来年も継続して定期的に幼稚園での保育の様子を撮影し記録映画に編集する計画でいます。

伊藤先生の幼稚園の園長先生が 福島県の私立幼稚園団体の代表であり しかも 同じ委員会で長く仕事をさせていただいた先生でもあるので 震災後 インタビューを含めて2度幼稚園を訪問させていただきました。

職員駐車場をつぶして 25メートルプール程のくぼみをつくり頑丈なシートを敷いた上に 園庭などを除染した土や植物などを埋めるられていました。 数十年かけて植栽で園庭環境を整備していたにもかかわらずほとんどの樹木を伐採するなど 状況の変化への対応は大変なものでした。

昨年は屋外では活動できず 暑い夏も開口部にはビニールのカーテンが掛けられて 風通しができない状態をつくって屋外と屋内の出入りをする といった状況でした。

そのような状況下で 毎年実施されていた体力測定の結果に変化が生じ 様々な面で 状況の変化に対応した工夫の連続だったようです。

伊藤先生は子どもの精神面でのケア―はもとより 震災後の保護者の精神的な支援のために福岡で長期間の研修を受けられています。

この度も被災地の私立幼稚園の保育者は 公立施設と明らかな差別的な対応を受けながら 費用や職員の配置など自己負担で 子どもにとっても 保護者にとっても 地域にとっても よりよい保育実践の場となるうように絶え間ない努力をされています。

おはなしごっこのモチーフ

表現が保育の柱となる3学期は来週からですが ワクワクひろばを終えた先週から各学年グループを中心に お話しの創作や 様々な物語に出会ったり味わったり 楽器に触れたり音を出してみたりする活動が始まっています。

今日も各グループでお話しごっこを楽しみました。年少はお誕生会の先生方の出し物でもあった「ありときりぎりす」。年中は「ももたろう」を小道具の剣をちらしでつくりながら…。それぞれ絵本などでも親しんでいるお話しを身体化(身体で表現)しながらたのしみました。

年長は「にんじゃ」をモチーフにお話しごっこを…。

既存のものか創作かどうかは別として おはなしごっこにはモチーフとなる物語が欠かせません。

ワクワクひろばの劇場チームのお話しはとても素敵な物語だったので もしかすると私は 三匹のこぶたのお話しにちなんで子どもたちが創作したものかなぁと思いましたが 実は 原作となる絵本がありました。

 

 

 

 

 

 

この絵本 幼稚園の蔵書ではなく 中川先生の私物です。しかも お母さんから借りたのか譲り受けたものなのだそう…。

絵本の中の一ページに 中川先生がちょうど幼稚園児の頃のサインがありました。

素敵なお話しは 時空をこえて伝わるものなのですね。

北海道体育協会体力測定

今日は 年長青バッチグループがきたえーるに出かけて 公益財団法人北海道体育協会の幼児の体力向上プログラムの一環として体力測定を行ってきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本格的な測定器具を使って たくさんのスタッフのみなさんが 25メートル走 ソフトボール投げ 体前屈 握力 体支持 幅跳び 反復横跳び の7種目を測定してくださいました。

あの広いメインアリーナいっぱい使って 全員(今日はお休みもいませんでした) 各自自分の名前を告げてから全種目しっかり測定しました。そのことだけでも花丸で立派です。測定結果は北海道全体の幼児の体力向上プログラムにいかされ 個人データーは後日お知らせいただける とのことです。

 

11月うまれのお誕生会

今日は11月うまれのお誕生会がありました。今年はなぜか11月うまれのおともだちがたくさんで 中川先生 そして実習生も…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お誕生会の間 外は猛吹雪。今日も雷鳴が轟いていました。みなさんが生まれた日はどんなお天気だったのでしょうね。

クラスの記念写真は 保育アルバムでご覧ください。

 

英語あそび参観

毎週月曜日は学齢別のグループでの活動日。今日は英語あそびの参観(参加)日でした。自由参加でしたが 本当に多くの保護者の方(何人ものお父さんの顔も見えました)に参観参加していただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつも 子どもたちがどんなふうに 英語であそんでいるか 実際に参加していただいておわかりいただけたと思います。子どもたちはいつもにも増して楽しそうでした。

担当している澤本先生は 美晴幼稚園では織田副園長より前から美晴の保育を担当されています。ネイティブスピーカーではありませんが 美晴で英語あそびを担当されるようになってから 幼稚園教諭の免許を取得されました。

専門の外部講師とはいえ きちんと幼稚園教諭の教員免許をもって保育を担当されている先生は少ないと思います。

今日もありがとうございました。

 

子どもの視点から状況を見つめて…

昨日のお話しの続きです。

ドンリュウ園長は大学までチャンピオンスポーツ(大会での勝敗を競う学生競技)として野球をしていました。高校、大学とそれなりの実績を残したこともあり、卒業後は母校の大学の学務部教務担当の職員として勤務しながら野球部のコーチをしていました。

マンモス大学系列の地方大学だったので 学生係と教務係が同じフロアーで仕事をしていたので オフィスのカウンターで日々学生の様々な問題にも直接・間接にかかわっていました。

大学に勤務していた5年間で少しずつ顕著になってきたのが 学生の自律神経系の体調不良や疾患への対応です。端的にいえば 一見普通にみえる学生が食事や睡眠など生活リズムに変調をきたし その当時では数少なかったのでしょう 大学病院の専門医にケアーしてもらっているケースです。学生から直接申し出られるケースは稀で 健康管理室(学校の保健室)などと内々に連携する場合の方が多いわけですが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この絵本、摂食障害の体験がある作者が自らの体験をベースに書いたお話しです。お母さんやお友だちに嫌われたくなくて、自分の気持ちをだれもがもっている心の中にある水色の小ビンに閉じ込める…。そして…。

人間もしょせんは動物 意識(自覚)でき自らコントロールできる領域は全体のほんの僅かで 大部分は意識や自覚の及ばない無意識(無自覚)の領域に支配されているのでしょう。だから 良いことも悪いことも 自覚のないまま無意識の領域に蓄積されてゆく。

そして 時間がたった後で 本当のダメージは 自らのコントロールが及ばない身体の部分や機能に なんらかの かたち となってあらわれるのでしょう。

この絵本の中で 学校でつらいことかなしいことがあった時に お話ししたい相談したい相手の家族がいない家に帰ることの 切なさ寂しさつらさが描写されています。

公的な小学生の学童保育は午後6時まで。しかし 最近 夜の8時9時まで子どもを預かる学童保育屋さんが出始めています。パンフレットに書かれるには 宿題のケアーや楽しい専門講師によるプログラムがいっぱい…。でもそこで 子どもの気持ちを家族にかわって引き受けることまで できるのでしょうか…。

札幌市では今年の10月から 保育所の待機児童対策の一環とて私立幼稚園での認可外保育所(幼稚園保育室)が始まり 認可保育所や一定の基準を満たした認可外保育施設より著しく安価な運営費でまかなわれる保育施設ができてしまいました。そして 幼稚園の預かり保育も保育所並みの開所をする条件で整合性を欠く運営費が補填される制度もはじまりました。

いずれも 保育の運営費が安価でもなんとかなる という悪例を既成事実化するもの。これは 長期的にみると私立幼稚園の経営を弱体化させるばかりでなく 保育士や幼稚園教諭の労働環境を不安定化させると同時に 専門職の雇用を流動化させてしまいます。

たぶん このまま進めば 行政も私立幼稚園関係者も 知らず知らずのうちに 保育の現場は蝕まれ弱体化してしまうでしょう。でも そうなっても誰も責任はとろうとしないだろうし 事実とることもできないものです。ただ その悪影響が行き着く先は 子どもたち。美晴幼稚園はこのような動きに 距離を保ちながら 子どもからの視点で状況の変化に対応して行きたいと考えます。

 

 

勤労感謝の日

今日は勤労感謝の日。

ちょっと変わった視点で考えてみたいと思います。

ドンリュウ園長が大学の学部を卒業して社会人になった年が1986年。いわゆる男女雇用機会均等法の施行元年。円高など経済状況で新卒者の就職状況に波はあったものの 日本は後のバブルに向かって上り坂(妄想)の時代です。

1999年に改正施行された同法で、求人を含む男女差別は撤廃に向かい職業名称も改められました。看護婦・保母➡看護師・保育士、スチュアーデス➡客室乗務員…。同時に夜間勤務についても特定の業種(医療、運送業など)以外の一般業種でも差別?は撤廃され女性の夜間労働(勤務)が当たり前になりました。その結果どうなったか…。

日本の2,100時間を超えていた年間実労働時間は 2010年実績で1,787時間に短縮されました。この数字は北欧・ヨーロッパよりは多い数字ですがアメリカを逆転しています。(これはOECDの国際比較調査なので様々なファクターをコントロールしている可能性がありますがある程度実態は反映しているといえるでしょう)

ここからの話は保育所関係者や保育所利用者の批判ではないことを明確に断っておきます。

一方で日本は1990年代以降、少子化の傾向が著しく進展したこともあいまって、子育て支援よりも就労支援策として保育所の量的拡大(施設定員数の拡大と開所時間の拡大)が進みました。当初から役所は「保育所の開所時間の延長は在所時間の長時間化とイコールではない。」と繰り返していましたが、結果どうなったかは言わずもがな でしょう。

保育所新設には多くの市町村で年間300日以上、一日10時間以上の開所が求められています。単純に計算すれば年間3,000時間以上の開所となります。

現行法でも日本の年間労働時間は変形労働を採用しても最長でも2,100時間を下回ります。

保育所が親の就労時間より長時間にならざるを得ないのは親の送迎時間があるからという理屈は詭弁ではないでしょう。しかし、その理屈はワークシェアリングの進展を阻害しかねないでしょう。

ドイツでは社会が早朝(6時、7時)から機能しはじめます。保育所や幼稚園も早朝から受け入れ朝食を提供する場合もあるほどです。しかし ドイツに限らず北欧やヨーロッパの国々はワークシェアリングと働き方が家庭中心に組織されていて 両親のどちらか あるいは家族の誰かかが午後には子どもを迎えにきて 家族で夕食を囲み団らんし 夜の8時には公共放送民放ともにテレビに共通のキャラクターが登場し「良い子の時間はおしまいです」というお知らせが流れるのだそうです。

一方 日本では今でも小学生以下の子役のテレビ等の出演時間は午後8時まで可能です。(人気子役が夜8時で画面に出なくなりましたよね)収録番組もあるでしょうが 8時まで仕事をした子どもが自宅に帰り就寝できるのは何時なのでしょう…。

いやみ ではなく 日本は子どもに対して間違った勤労感謝をしつづけている国なのかも知れません。

 

お礼のお礼

今日 職員全員に PTAの幹事さんからバザーが盛会の終えられたことの報告と共に 職員の協力に対してお礼のお手紙をいただきました。

我々職員の方こそ 美晴幼稚園の子どもたちのために 本当に多くのお働きで楽しい場をつくっていただき さらには 子どもたちのワクワクひろばの制作物の再利用や解体にご協力いただきましたことに 感謝しつくせない思いでいます。

「てま」「ひま」をおしまないことは 私たち美晴の保育モットーですが 私たち以上に 大事なものの為には自ら汗を流すことをいとわない 保護者の皆様があってこそ 美晴の保育が成り立っています。

皆様の 細やかなお心遣いに 心から感謝いたします。

職員を代表して 園長 東 重満

CAP(子どもへの暴力防止プログラム)

今日から CAP:子どもへの暴力防止プログラム(こどもへのぼうりょくぼうしプログラム、Child Assault Prevention)がはじまりました。

初日の今日は 保育者が大人向けのプログラムに参加しています。 2日目の明日は保護者のみなさんに同じく大人のプログラムに参加していただきます。そして 来週29日から週末をはさんで連続で三日間 年長青バッチグループが子ども向けのプログラムに参加します。

子どもの基本的な人権である 「安心」 「自信」 「自由」 という概念を ワークショップ形式で理解してゆきます。そして 危険な状況を回避する実技(スキルの習得)も体験します。

これからでも間に合うので 保護者で希望される方は明日のCAPに参加されてはどうでしょう。

 

ドンリュウ園長はこう思います。

子どもが心の底から 「安心」と「自由」がまもられて 確かな「自信」をもちながら毎日の生活を過ごせているか。

そのことが保障されていない 幼稚園や保育園あるいは学校… はないだろうか。(もちろん美晴も含めて…)

能力開発や早期教育。あるいは「しつけ」という美名に隠された子どもの人権侵害はないだろうか。

毎日の様に意味の無い競争やスキル習得に時間を費やす。そこには「成果」以上の過剰なストレスと緊張が常態化して大人も子どもも麻痺したまま 確実に蓄積され いつか必ず破綻する。

そして 家庭はどうだろう。

危うい状況から脱出するのは そのことに気づいた自分たちにしかできないはず。美晴でも絶え間なく子どものあり様を 自分たち自身のあり様を点検し続けなければいけない。