年長児スポーツ大会~解説~

本日より年長児クラス対抗のスポーツ大会が始まりました。

今年は、みんなの話し合いの結果「ボーリング大会」に決まりました。過去には、綱引きや玉入れがありましたが「ボーリング」は過去の大会にはなかったため、今回が史上初!

大人も戸惑いながらみんなを見守っていきました。

 

以下、すでに年長児保護者のみに配布させていただいた今年のスポーツ大会当日までの経緯とミニ解説です。

これを読んでいただくと、よりスポーツ大会の様子を楽しく見ていただくことができると思います!

 

~子どもたちの自発的な活動の流れ~

1.ペットボトルはどれにする?

まず、ボーリングのピンはペットボトルに決まりましたが、集めたペットボトルの大きさや、種類が様々でかなり時間をかけてどれを使うかを選びました。

2.ペットボトルはどのくらいの重さで?

なぜか、ビー玉を入れることを決めていて、それを何個いれるのかを検討していました。「倒れやすいとダメだし、倒れにくいのもダメ」ということで、結局ビー玉は1個入れることに決定しました。(あとでこっそり確かめてみると、確かに1個と2個の違いがありました!)

3.レーンの距離は?

まずは、自分たちの感覚で遠く離れてボールを転がすところから実験しはじめました。しかし、かなり難しいことがわかると。今度は1メートル位のところから投げ出す子どもが出てきて、距離を決定するまでにかなりの時間を費やしました。

4.ペットボトルは何本?

10本のボーリングピンを倒すことは難しいとわかった子どもたちは、1から6本の間でかなり悩んでいました。考えたあげく最後は多数決で3本に決めていました。

5.何回投げられる?

「倒れるまで投げる」という考え方で盛り上がっていましたが、一人が「そんなんしてたら給食が始まってもまだ食べられへんようになるやん!」と言い出しました。他のみんなもそれには納得したようです。結局1回で全部が倒れたら終わり。倒れなかったらもう1回できる。ということに決定しました。

6.跳ね返りはOK?

実験をしていると壁にあたったボールが跳ね返りでペットボトルを倒してしまうことがあり、皆が「あっ!!」と思った瞬間でしたが・・・そこはみんなの意見がすぐに一致「跳ね返りはあかん!!」

7.点数表はどうする?

みんなが倒したらどんなふうに点数をつけるのか?みんなですることから「合計点を出す」とこは共通の意識でいたが・・・「足し算でけへん!!」と気が付き始めた子どもたち・・・しばらく足し算ばかりに悩んでいました。結局、ペットボトルは3本なので全部倒れたら「3」。表を作り、倒れた本数を線で書いて最後に数えることにしました。(詳しくは実際の写真をご確認ください)

~ミニ解説~

以上のような子どもたちだけの話し合いの中では、少数意見であっても迎合せずしっかり自己主張する場面や、あるいは誰かが譲らなければ、話の折り合いがつかない場面などが自然に生じ、この実体験を通じてひとりひとりが集団の中で生きるための力を培います。

子どもたちの活動の流れをお読みいただいて、気づいていただいたことがたくさんあったのではないでしょうか。「子どもの発想力の豊かさ」「考えたり、工夫したり、創造したりする力の確かさ」「仲間で話し合う力」「数や数字の原点となるような経験と学び」「既成概念にとらわれない自由さ」これらはすべて子どもたち自らの活動から生まれてくる姿です。幼稚園教育要領に謳われている五領域のねらいすべてが、この活動のコンテンツとなっています。

年長教育課程のテーマのひとつに「協同性」(友だちと協力し合い、ひとうの目的を成し遂げていく)が挙げられますが、今回のボーリング大会の中でこうした営みを大切にしていくことで、子どもたちはまたひとつ成長すると思います。

平成30年度から施行される小学校の学習指導要領には、こうした営みから培われる非認知的な力(教えることのできない学び・生きる力)が、学力観の中に大きく位置づけられています。