変化と工夫

今朝の朝日新聞の天声人語に福島市の幼稚園の主任教諭のことばが紹介されています。

福島市の幼稚園主任、伊藤ちはるさん(40)が、園児を外に出せないつらさを福岡で報告した。「ナシ狩りもだめ、運動会、発表会など、これまでとの変化、変化、変化に、室内でどうするかの工夫、工夫、工夫でした。どうせやるなら楽しくと」

先月から 昨年末と今年のはじめに収録した、岩手県と宮城県の沿岸部の幼稚園で甚大な被害を受けた幼稚園の先生方へのインタビュー映像を 「証言」として記録映画に編集する仕事をしています。

実は 同じく福島県の先生方にもインタビューをしていますが 福島県は他県と異なり 福島第一原子力発電所の事故の影響が大きいため 今年と来年も継続して定期的に幼稚園での保育の様子を撮影し記録映画に編集する計画でいます。

伊藤先生の幼稚園の園長先生が 福島県の私立幼稚園団体の代表であり しかも 同じ委員会で長く仕事をさせていただいた先生でもあるので 震災後 インタビューを含めて2度幼稚園を訪問させていただきました。

職員駐車場をつぶして 25メートルプール程のくぼみをつくり頑丈なシートを敷いた上に 園庭などを除染した土や植物などを埋めるられていました。 数十年かけて植栽で園庭環境を整備していたにもかかわらずほとんどの樹木を伐採するなど 状況の変化への対応は大変なものでした。

昨年は屋外では活動できず 暑い夏も開口部にはビニールのカーテンが掛けられて 風通しができない状態をつくって屋外と屋内の出入りをする といった状況でした。

そのような状況下で 毎年実施されていた体力測定の結果に変化が生じ 様々な面で 状況の変化に対応した工夫の連続だったようです。

伊藤先生は子どもの精神面でのケア―はもとより 震災後の保護者の精神的な支援のために福岡で長期間の研修を受けられています。

この度も被災地の私立幼稚園の保育者は 公立施設と明らかな差別的な対応を受けながら 費用や職員の配置など自己負担で 子どもにとっても 保護者にとっても 地域にとっても よりよい保育実践の場となるうように絶え間ない努力をされています。