可塑性(かそせい)

今日 年中黄バッチグループと 年少ピンクバッチグループが陶芸をしました。

陶芸用の土粘土は可塑性(もとの状態に力を加えて変形させて一定の状態に保つこと)がある素材ですが 普段使っている油粘土とは違って 一度乾燥して固まると 再度変形させることはできない素材です。つまり一期一会の造形活動…。

朝バスの時から とっても楽しみにしていましたよ。

ある程度乾燥したら ガリバーの電気陶芸窯で焼成します。

それから こじつけるわけではありませんが 昨晩 札幌市の特別支援教育支援員研修があり 大正大学の玉井先生の講演を美晴の職員といっしょに聴きました。講演の中で乳幼児期の発達の可塑性についてのお話しがありました。

乳幼児期はヒトの生涯の中で最も著しい発達(早くて大きい変化)をする時期です。その発達のあり様は一人一人異なります(絶対無二)。大事なのは周囲がその子らしい発達の道のりを支えることです。

しかし 最近 どの子も同じ時期に同じことができなければいけない と言わんばかりの実態がありはしないでしょうか? もっと目を覆いたくなるのは 大人が力を加えればどのようなかたちにもなるのだという 思い込みで子どもをいじる? そのことに疑問を感じられない大人は ある意味で感覚がどうにかなっているのかも知れません。

子どもの陶芸は瀬戸物や磁器のように 同じ作品は絶対にできません。その日のお天気(気温湿度) 粘土の状態 その子の手の大きさ温かさの違い そしてなにより作者の意志が作品に投影されます。人間はもっとそうですよね。同じように育つことなんかありえないはず…。

そう みんなちがってみんないいんです。

変化と工夫

今朝の朝日新聞の天声人語に福島市の幼稚園の主任教諭のことばが紹介されています。

福島市の幼稚園主任、伊藤ちはるさん(40)が、園児を外に出せないつらさを福岡で報告した。「ナシ狩りもだめ、運動会、発表会など、これまでとの変化、変化、変化に、室内でどうするかの工夫、工夫、工夫でした。どうせやるなら楽しくと」

先月から 昨年末と今年のはじめに収録した、岩手県と宮城県の沿岸部の幼稚園で甚大な被害を受けた幼稚園の先生方へのインタビュー映像を 「証言」として記録映画に編集する仕事をしています。

実は 同じく福島県の先生方にもインタビューをしていますが 福島県は他県と異なり 福島第一原子力発電所の事故の影響が大きいため 今年と来年も継続して定期的に幼稚園での保育の様子を撮影し記録映画に編集する計画でいます。

伊藤先生の幼稚園の園長先生が 福島県の私立幼稚園団体の代表であり しかも 同じ委員会で長く仕事をさせていただいた先生でもあるので 震災後 インタビューを含めて2度幼稚園を訪問させていただきました。

職員駐車場をつぶして 25メートルプール程のくぼみをつくり頑丈なシートを敷いた上に 園庭などを除染した土や植物などを埋めるられていました。 数十年かけて植栽で園庭環境を整備していたにもかかわらずほとんどの樹木を伐採するなど 状況の変化への対応は大変なものでした。

昨年は屋外では活動できず 暑い夏も開口部にはビニールのカーテンが掛けられて 風通しができない状態をつくって屋外と屋内の出入りをする といった状況でした。

そのような状況下で 毎年実施されていた体力測定の結果に変化が生じ 様々な面で 状況の変化に対応した工夫の連続だったようです。

伊藤先生は子どもの精神面でのケア―はもとより 震災後の保護者の精神的な支援のために福岡で長期間の研修を受けられています。

この度も被災地の私立幼稚園の保育者は 公立施設と明らかな差別的な対応を受けながら 費用や職員の配置など自己負担で 子どもにとっても 保護者にとっても 地域にとっても よりよい保育実践の場となるうように絶え間ない努力をされています。