「なおす」ということ

今日 お引っ越で転園していったお友だちが 久しぶりに美晴幼稚園に来てくれました。冬休みをはさんで1月の末ごろお家に帰るまで 美晴に通うことになります。

お客さんを送りに玄関にいったとき そのお友だちが玄関ホールの絵本コーナーで 保育者といっしょに絵本の破れたページをセロテープでなおしている姿が目に映りました。

そのお友だちは 美晴に通っていたころ 自分で読んでいる絵本や図鑑などの本のページを破ってしまう事がありました。ドンリュウが見た時はセロハンテープを使って絵本を修復している時だったので 今日はそのお友だちが破いたのか否かはわかりません。

幼稚園の図書は皆の共有物で 今いる園児ばかりでなく 長く引き継がれるものでもある大切なものです。もちろん わざと壊したり破ったりしてもいいものではありません。その様な行為を注意し たしなめ 叱ることも間違いではありませんが 今日の保育者のように いっしょに「なおす」ことを通して 時間をかけながら 皆の大切なものを壊したり破いたりすることがどのようなことなのか 壊してしまったら どのようにして「なおす」のか… 責任をとるのか…。 そんなことを 二人の姿に中に感じ学ばせてもらいました。

来年3月に発刊される 全日本私立幼稚園幼児教育研究機構が編さんする東日本大震災の保育者の「証言」というDVDの中で 宮城県の保育者が 「今はまだ 幼稚園の周辺に津波で打ち寄せられた瓦礫や船 車がかたずけられずに残っています。私たちの園では 子どもたちがそれから目をそむけるのではなく 多くの人々の思いや力によって 自分たちの街や家 幼稚園 そして生活がこんなふうに 時間はかかってもちゃんと「なおってゆく」ことをみてわかってほしいと…。そして 将来 困っている人や出来事に出会ったら 今度はその人たちの力になれる大人になってほしいと願っています。」とお話しされています。

ドンリュウは編集作業の中で この場面を見聞きして 「なおす」とか「なおってゆく」という言い方について  「病気が治る」という時には使っても 「機械が直る」というような使い方は 最近 ほとんどしていないことに気づきました。でも 「なおる」という言葉は素敵だなぁ と思いました。

私たちは 便利で物資で満たされた中で生活していると つい 修復する時間や手間 経費を考えれば 新しいものに交換したり弁償した方が 安上がりでいい きれいでいい…。それが責任の取り方…。と考えがちですが 本当は 今日の二人のように 子どもと大人が「なおす」ことに てま ひま かけることの方が 貴い行いであって 本当に責任をとる 子どもにとって大切な経験なのだと思いました。