根っこは大事

とっても個人的なことですが ドンリュウは金曜日に足掛け3年がかりで根っこから折れてしまった前歯の治療を終えました。

歯医者さんが年明けの1月から6ヶ月歯の根の治療を続け なんとか差し歯の台として耐えうる状態にしてくださいました。

幼児教育と同じように 根っこは大事だと痛感しました!

ところで ドンリュウは高校2年生の夏に野球の硬球があたり1本見事に折れてしまい ブリッジをかけた歯があるため 今回治療した横の3本が既に自分の歯ではありませんでした。

当時 ドンリュウは北海道の最強豪校の野球部に所属している高校球児でした。

高校野球は夏の大会を終えると代がかわって 1・2年生の新チームで秋の大会にのぞむための練習が始まり翌年春の甲子園選抜大会出場を目指します。

夏休みの練習は レギュラーポジションの獲得 最低でもベンチ入りのメンバーになるため死力を尽くします。

一塁手であったドンリュウ少年は 毎日 数百本のノックを受けていました。夏休みの練習も佳境にはいったころ グランダー(ゴロ)の捕球技術が未熟だったため 自分たちが丹念に整備したグランドであってもイレギュラーバウンドしてしまうボールを幾度となく顔面で受けて いくつも青タンになっていました。

そして そのうちの一球を前歯で受けてしまったため 根からポッキリ折れてしまったのでした。

しかし そんな努力のかいあってか なんとかレギュラーである背番号3番のユニホームを勝ち取って秋の大会に出場しました。

いよいよ甲子園出場をかけた全道大会の決勝戦。9回裏1アウトまで2点をリードしていて 完全に打ち取った打球が転がり ダブルプレーでゲームセットになると思った瞬間 誰の目にも明らかなイレギュラーバンドがショートを守っていたチームメイトの頭上をこえたことをきっかけに逆転負けを喫してしまいます。

翌春の甲子園選抜大会は 前年の高校野球の選手権大会や 社会人野球の都市対抗で 北海道のチームが活躍したこともあって 北海道から2校が選ばれ ドンリュウも甲子園のグランドでプレーすることができました。

日本一といわれる甲子園球場でも 一日数試合おこなわれるグランドは荒れ どうしてもイレギュラーがおこります。内野手は秋の大会の教訓もあり できる限り自分のポジションの周辺は自分のスパイクで凸凹をならしていました。

実際はグランドの荒れによるイレギュラーバウンドは防ぎようはないのですが 自分たちの最善は尽くしておきたかったのだと思います。

夏の選手権大会は あと一勝で甲子園という南北海道大会の決勝で惜敗しました。

最終回 一打同点となる場面で 相手チームのセンターがキャッチャーへダイレクト返球し 2塁走者であったドンリュウは同点のホームベースを踏めずに憤死してゲームセットとなりました。キャッチャーにタッチされた脇腹の感触は今でもハッキリ残っています。

今日 娘の学校への往復 南北海道大会で歓声わき上がる円山球場のわきを通りながらそんなことを思い出していました。

ドンリュウは 高校野球生活を通して 甲子園出場という夢を叶えたことよりも 2つの惜敗と 共に夢の実現に向けて努力した仲間と過ごした毎日のことの方が大切な思い出として記憶され 今の生活や仕事にいかされています。

チーム全体が公式戦でのエラーが少なかったのですが ドンリュウのへたくそなフィールディング(守備)は努力のかいあってか 華麗とまではいかなくとも堅実なフィールディングとなって 公式戦の守備機会ではエラー0を通すことができました。

イレギュラーバウンドは誰の責任でもなく 不条理に影響をあたえます。そのことを言い訳にするのではなく ましてや恨むのでもなく 全てを自分のこととして受け入れ 毎日の積み重ねで知識と技術を身につけ でき得る限りの準備と心構えで不測の事態に備えることの大切さ…。

毎日の捲まず撓まずの努力は 絶対にその人を裏切らないということ…。

これらのことは 毎日 命を預かり 命と真摯に向き合う 保育の仕事に通じます。

母校はこの夏 優勝候補の筆頭といわれ 順調に勝ち進んでいます。先輩としては 全国選手権大会の出場を果たし優勝を目指してほしいと応援していますが それ以上に 高校野球生活を通して得られた思い出と経験をこれからの人生にいかしてほしいと切望します。