恩師
私は教育系ないし保育系の大学で学んでいないので 系統的に保育や教育を学んだ経験がないまま幼稚園の副園長として 本学園に赴任しました。そこで園長に就任するにあたって教員免許を取得するか 大学院で幼児教育を学び研究するかで迷いながら 最終的に 当時 日本で幼児教育の専門の講座が三つの大学院でしかなく そのうちの一つであった 上越教育大学大学院に入学することにしました。
当時 上越教育大学は 兵庫教育大学と鳴門教育大学とで構成される文部省(現文部科学省)直轄の大学院大学で 現職教員の研究機関であり再教育機関でした。大学院の定員の過半数は現職教員枠として定められていて 各都道府県の教育委員会から現職の学校の教員が派遣される 特殊な大学でした。
将来 教頭や校長 あるいは教育委員会の指導主事等として活躍する人材を養成する目的の講座や 教科の専門性を高める講座 特別支援専門の講座 そして 幼児教育専門の講座があり 私は 幼児教育専攻の細井房明先生という教育哲学が専門の先生を指導教官として大学院生活を送りました。
大学院時代の恩師でる細井先生は ペスタロッチ―(1700年代から1800年代初頭にかけてスイスで活躍した社会改革者であり教育哲学者・実践者)の研究者で 一見 ベレー帽をかぶったいかにも哲学者らしい気難しそうな大御所風の先生でした。
しかし 自主ゼミや論文指導で指導いただく機会が増えてくると 東北大学の学生時代からヨット部で活躍したスポーツマンで しばしば ご自分の大学の宿舎に院生を招いて飲み会を設ける 気さくな親父でした。(今でもセーリング連盟の役員をされている現役のセーラーです)
細井先生は国立大学教官を退職した後も いくつかの大学の新設のために現役で大学教授をお勤めになられ 今年 喜寿77歳になられた現在も現役の大学教授です。
そして ペスタロッチ―研究者として 原著(翻訳まえのドイツ語を中心とした著書)にあたられ 論文を書き続けている現役の研究家です。(こんな真っ当な大学人は日本では少なくなってしまたっと思います)
大学院時代 細井先生に薫陶を受けたことが 幼児教育者として大学の教員としての今の自分に大きく影響しています。
その細井先生から先日 喜寿を機会に 「ほっておいてくれ」 というお手紙と新潟の銘酒が送られてきました。細井先生らしい絶縁状でしょうか? こんな面白い(怒られそうですが)ことをする恩師は 最近 いないのではないでしょうか…。こんなところも含めて愛すべき恩師です。
2013年12月9日 11:55 PM | カテゴリー:コミュニケーション | 投稿者名:どんりゅう