プレイショップから−2

ドンリュウ園長は2日目のプレイショップは参加できず 事後のミーティングでふり返りのお話しを聴き 最終日に向けての打ち合わせに参加しました。

今回のプレイショップの最大のテーマは 忍者みならいのゆきのすけ(プレイリーダー)が ”飛び石を渡る” のがとても苦手で最終試験どころか練習でもくじけてしまい まともに挑戦することができない様子が続く…。しかし 最終日の試験は 「全員が合格しなければ(一人でも失敗すれば) 誰一人として忍者とは認めてもらえない。」ことになっている。その様な状況のなか 子どもたちはどのように葛藤し どのような決断をして先に進むのか。

しかし 子どもたちの反応は今ひとつで 学生たちはしっくりきていない様子…。翌日 学生は当初のプランを変更して最終日のプレイショップにのぞみました。

修行(練習)は順調に進み いよいよヤマ場の”ゆきのすけ”が飛び石の術に挑戦する場面になりました。がんばってみるものの やっぱり途中でくじけて離れた場所に逃げてしょげこんでしまいます。

少し 沈黙が流れた後 一人の子ども(てつ君)が自分の意志でゆきのすけのところに向けて歩き始めます。そして 「そんなにおちこまないで げんきだして…」と語りかけます。その様子に気づいた他の子どもたちも駆け寄って声をかけます。

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一連のてつ君の姿。ドンリュウ園長は胸の奥がジ〜ンと熱くなりました。きっと同じように感動していた保育者がいたことと思います。子どもたちに囲まれてゆきのすけ(学生)は泣いていたけれど 誰よりもゆきのすけのことを”自分事”として心を寄せ その気持ちに寄り添って具体の言動に移せることは 6歳の子どもの真骨頂といえます。この様な場面に立ち会えるのは保育者冥利に尽きます。

てつ君 6カ月早いけれど 立派に美晴幼稚園で3年の課程を修めることができたね。

その後の話し合いでも ゆきのすけの試験の場面でも 学生がねらっていたような展開にはならなかったようですが そのズレこそが保育と子どもと保育者の可能性そのものだといえます。

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今年も素敵なプレイショップとなりました。

 

そのプレイショップから

今年は忍者の修行をテーマに3日間のプレイショップが展開しました。

プレイショップ1日目はプレイリーダーの学生と子どもたちが打ち解けるアイスブレークからはじまり あそびのイメージを共有するために手作りの紙芝居をみて 忍者に変身する”装置”でもある服をつくり 身にまとって 美晴幼稚園から忍者の世界へとスリップして(1階の保育室から2階のホールに移動して) ドラマの世界にはいります。

ここで お城と 忍者 忍者学校の先生と出会うのですが その登場の仕方にインパクトがありすぎて 忍者自体はとてもかわいらしくやさしいのに ちょっと怖がる子どももいました。

ドラマのポイントは 最終日に忍者になれるかどうかの試験がある。一人でも不合格だと全員合格でいない! さぁ どうする…というものです。

ドラマ(忍者の世界でのあそび(修行))が終わると 幼稚園にスリップ(戻り)して 忍者の服を脱ぎ いつもの自分に戻り ふり返りの絵を描き 発表して1日のプログラムを終えます。

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プレイショップ

美晴幼稚園では2003年ころから 当時 北海道大学の石黒研究室と共同で放課後保育を利用したプレイショップ(大学院生や学生がプレイリーダーとしてあそびを企画し試行的に実践する場)を断続的に行ってきました。

この プレイショップは当時フィンランドオウル大学のペンティ・ハッカライネンやアメリカカルフォルニア大学サンディエゴ校のマイケル・コールといった世界的に著名で気鋭の教育学者や発達心理学者がネットワークを形成して 実践的保育・教育のフィールド研究の一環として行われていました。

石黒先生が立教大学に異動されたこともあり その後 しばらくの間 実践できずにいました。

3年前 石黒先生に誘っていただきスゥエーデンのヨーションピング大学で開かれたこの研究者ネットワークのカンファレンスに参加させていただいた時 15分の予定で美晴幼稚園の紹介をさせていただいたら このプレイショップに皆さんが興味を示され議論が盛り上がり 1時間半のセッションになったことから 「また プレイショップのようなものをやってみたいね…」 ということになりました。

一昨年から立教大学の大学院生と学生が 昨年から立教大学に加えて当時大学院生として中心的にかかわっていらした内田先生が教員として所属される高崎保健福祉大学の学生が 遠路 札幌まで来ていただき プレイショップが実現されています。