20年来の課題に向き合って

昨日 一週間延期して運動会を実施することができました。

美晴幼稚園で18年間勤務し美晴の家保育園に異動した織田先生が在勤中に 運動会を延期した経験がない ということなので ほぼ20年間 運動会を延期して行っていないことになります。

ドンリュウ園長は たしか1993年(平成5年)の記録的な冷夏の年だったと記憶しているけれど 当時 厚別区のもみじ台に設置していたこぐま幼稚園(平成8年閉園)で2週にわたり延期して平日に実施したことを含め数回 運動会の延期を経験しています。(美晴でも経験しています)

日曜運動会で一週間延期して行う場合 一番難しいのは子どもの運動会への期待や意欲を ”継続” することです。しかし 自分としては 前回までの延期した後に行った運動会は今ひとつしっくりこなかった…。苦い経験があります。

今 ほとんどの小学校は土曜運動会で予備日は翌日の日曜日。幼稚園も小学校と同じ様なかたちの園が多くなってきていると思います。月曜日の給食の手配の困難さがその理由にされることが多いでしょうが 実際は参観する家族への配慮や教職員の面倒さ そして カリキュラムが窮屈(計画上の時間数の確保や やりくりが難しい…)などが本当の理由でしょう。

そして 前述しましたが もともと運動会を終えたことを前提とした指導計画と平行して運動会へ向けた保育(授業)を進めながら 子どもの期待や意欲を継続し活動を充実させる一週間をつくることは保育者(教師)の力量と園(学校)全体の運営のあり方によって大きく変わります。誰だってできるなら避けて通りたい…。

今年 悪天候によって延期することが決まり 園長からの発信には必ず「意欲や期待をより高める…」としていましたが 正直なところ 経験が浅い保育者(もちろん運動会の延期経験もない)との保育の中で「できるかなぁ…」という不安も少なからずありました。

しかし この一週間 病欠の子どもが減り 仲間がだんだんとそろってきた といった好循環もありましたが 保育者のアイディアと工夫 そして 子どもたちとの協同で 難しい一週間を意味ある助走路の延伸にすることができていた と 客観的な目線でみても評価でき 園長として実感しています。

20年来の課題に向き合い いくらか克服する機会を 雨によってもたらされ 今の子どもたちと保育者の保育によって実現することができたと思います。

それから もう一つ。そのころ ドンリュウは 当時の理事長・園長(父親)が病気をわずらい 東海大学の学務部教務担当と野球部のコーチの仕事を急遽辞めて 幼稚園の副園長として子どもたちとかかわりはじめていました。

同じ こぐま幼稚園で卒園間近になった頃 クラスでの保育が始まる前の自由選択的な時間に 年長の子どもたちとあそんでいたら 口々に「ふくえんちょうせんえいだいすき…」「やさしいし あそんでくれるし…」「おもしろいし」「ちからもちでかたぐるまとかふたりいっしょにもちあげられるし…」「こまったときたすけてくれる」…

副園長がどうあるべきか迷っていたドンリュウは 「そうか 子どもたちは自分に好感をもってくれている。これでいいんだ!」と思った瞬間 「でもね〜。ふくえんちょうせんせいは やさしいだけ だから…」と年長の女の子に誰に向けて話す訳でもなく 淡々と言われました。

その瞬間 氷水を頭からバケツでかけられたようでした。

保育者にとって大事な使命の一つは 子どもとの接面をどのようにするか ということです。やさしく子どもの思いと今に寄り添うだけでは 子どもの成長・発達に寄与する働きは全うできません。子どもの事実に正面から向き合うこと。子どもを葛藤の渦の中におくこと。などを「子どもを信じて」揺るぎなく腰をすえて実践できることです。

その瞬間瞬間は子どもに嫌われ疎まれるかも知れません。しかし 子どもはちゃんと分かっているのですね。どんな人が どんな自分へのかかわりが 自分にとって意味あるものか ということを…。

この課題は保育の現場にいる限り 永遠の課題でもあります。