「豆腐づくり」より「納豆づくり」

.............................................................................................................................................納豆 写真 ..............................................................................................................................................豆腐 写真

日本の教育においては、「個人(一人)」より「集団」が先行することが多いと言えます。

よく電車の中などで、「そんなことしていたら、おじさんに笑われますよ!」という台詞がよく見受けられます。これは、まったく「個人(一人)」を押し殺して、他人の目を気にする態度を身に付けさせてしまいます。こうした教育は、同じ原料から作られる「納豆」と「豆腐」に例えられるでしょう。

ご存じのように、「納豆」は、大豆を納豆菌によって発酵させた日本の発酵食品のことです。いろいろな種類が存在しますが、現在では一般的に「糸引き納豆」を指すことが多いです。他方、「豆腐」は、大豆の搾り汁(豆乳)を凝固剤(にがり、その他)によって固めた加工食品です。豆富や豆冨とも表記されます。東アジアと東南アジアの広範な地域で古くから食され続けている大豆加工食品で、加工法や調理法は各国で異なりますが、このうち日本の豆腐は白く柔らかい食感を持つ「日本独特の食品」として発達しました。

つまり、「納豆」と「豆腐」は原材料は同じものですが、製作方法が異なって、まったく違う食品になったものです。これは、教育に例えることができます。「納豆」のようにもともとの「大豆」の形を残しつつ、お互いが違った形をしていても、互いに引き合い、「粘り」という人間関係を結んでいる教育場面でのほほえましい状況と同じと言えましょう。他方、「豆腐」とは、「大豆」を原料としながらも、原型を留めないように加工されて、できあがった食品です。子どもの教育の世界で言えば、子ども「個々」の個性を残しているのが「納豆」、子どもの「個々の」個性は押しつぶされて、クラス全体として「形」をなしているのが「豆腐」だと言えましょう。

つまり、「子どもを教育すること」に話を戻しますと、「ひとりひとりを大切にする教育」とは言うものの、「同一性保持」(他人と同じように振る舞うこと、人と違ったことをしない)への圧力が知らず知らずに働いていることが多くあります。「みんなと同じように・・・」とか、「みんなと仲良くして・・・」といったように、「個人(一人)」は、まるで「集団」のために「同一化」せよと言わんばかりに取り扱われます。「個人の個性」は、「摺り下ろされて」、原型をとどめないようにして「集団」に同化させられていくのです。まるでその様子は、「豆腐づくり」に似ています。

「個性を尊重し」、「個を生かす」保育者のいる環境においては、「個人(ひとりひとり)」の「持ち味(個性)」を生かした形での集団(クラスなどの)形成が可能になります。いわば、「豆本来の」「個性を生かして」(子どもひとりひとりの形を維持・保持・向上を目指して)の「納豆づくり」の形状を成します。

「集団」の中で、競わせるようなことなどをさせて、「ひとりひとり」が「磨り減る」ような状況を作らず、「納豆」のように「お互いがお互いの形状を大切に保持しながらも引き合う(尊重し合う)」関係を形成すべきです。「同一性保持」への圧力を払拭したいものです。

これからの日本の教育においては、「集団」より「個人(一人)」を先行させ、子どもたちが自発的・自主的・主体的にものごとに関わり、子ども同士がお互いに相手を尊重し合える中で、成長していけるような方向性を持ちたいものです。『世界にひとつだけの花』の歌のようになりたいものです。

 

 

 

 

 

世界に一つだけの花』作詞・作曲・編曲/槇原敬之、著作権者(作詞・作曲・編曲以外)/ジャニーズ出版、2002年(平成14年)。JASRAC許諾、第J090816598号。

 

花屋の店先に並んだ  いろんな花を見ていた

ひとそれぞれ好みはあるけど  どれもみんなきれいだね

この中で誰が一番だなんて  争うこともしないで

バケツの中誇らしげに  しゃんと胸を張っている

 

それなのに僕ら人間は  どうしてこうも比べたがる?

一人一人違うのにその中で  一番になりたがる?

 

そうさ 僕らは  世界に一つだけの花

一人一人違う種を持つ  その花を咲かせることだけに

一生懸命になればいい

 

困ったように笑いながら  ずっと迷ってる人がいる

頑張って咲いた花はどれも  きれいだから仕方ないね

やっと店から出てきた  その人が抱えていた

色とりどりの花束と  うれしそうな横顔

 

名前も知らなかったけれど  あの日僕に笑顔をくれた

誰も気づかないような場所で  咲いてた花のように

 

そうさ 僕らも  世界に一つだけの花

一人一人違う種を持つ  その花を咲かせることだけに

一生懸命になればいい

 

小さい花や大きな花  一つとして同じものはないから

NO.1にならなくてもいい  もともと特別なOnly one