名前

子どもの名前はヒトの無意識の領域に刻まれるもの(刷り込まれるもの)だから 命名も呼び方も大事にしたい と私は強く思っています。

かつて担当させていただいた保健センターの両親学級でも 小学校の家庭教育学級でも 保護者にお話する時は 必ずこのことはお伝えします。

このことを最初に思うようになったのは 大学の学生時代 先輩から交通事故で亡くなった学生の話を聴いたときに 事故現場で瀕死の状態の友だちを前に呆然としていた先輩に 通りがかった人が 「あなた 友だちなら名前を呼んであげなさい!」と言われ 我に返って名前(苗字ではなく)を呼んでみると 一瞬 息を吹き返したそうです。その繰り返しの中で救急車が到着したそうですが…。

自分の名前は無意識の領域に刻まれる…。

ことばが話せず未分化な時期からでも 自分の名前は愛情をもってやさしく呼ばれ続けることで 自分の深いところに刻まれる。

先日 伝え聴きで小学校で担任の教諭から ニックネームで呼ばれ 自分の作品に記名させられている事例を耳にしました。

そのニックネームは家族間の愛称ではなく 担任が勝手につけた 悪意をこめたものであるらしい…。残念なことですが身近で現在進行形でなされている事実です。

保育や教育の現場では名前の呼び捨ても常態化している場合があります。これも 悪意のニックネームほどではないけれど 大人は十分注意すべきだと私は考えます。呼び捨ては 名前を 名前の呼び方を粗雑にしてしまいます。

幼児期(10歳くらいまで)の子どもの名前の呼び捨てが認められるのは 親しい家族が愛情を込めながら呼ぶ場合だけだと 私は思います。

幼ければ幼いほど 多く語りかけられることばは 自分の名前ではないですか。大げさだと思われるかもしれないけれど 名前の呼ばれ方は その人の生きるかたちに 良くも悪くも影響すると考えています。

だから 美晴では子どもの名前の呼び方は大事にしたいと思います。

【園長 東  重満】