宮山幼稚園では子どもたちのウェルビーイングを大切にしています♫

子どものウェルビーイングを考える〜精神的幸福度に着目して〜
(ウェルビーイングとは、幸福というような主観的な感情のみでなく、人間としての尊厳と機能が保たれている状態です。)

 保護者さまのなかには、ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、2020年9月3日にユニセフ・イノチェンティ研究所によって『レポートカード16-子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福度を形作るものは何か(原題:Worlds of Influence: Understanding what shapes child well-being in rich countries)』が発表されました。
 この報告書は、先進国で暮らす子どもたちの幸福度に影響を与える6つの要因(①国の状況②子どもに関する政策③家庭や地域の資源④保護者の職場・学校・地域とのネットワーク⑤子ども自身の人間関係⑥こども自身の行動)を挙げ、結果を精神的、身体的、スキルといった側面で考察したものです。
 報告書のなかで、憂慮すべき点は、日本の子どもは身体的健康に比べ、精神的幸福度が格段に低いことです。すなわち、調査対象国との比較において、身体的健康は38カ国中1位であるにも関わらず、精神的幸福度は下から二番目の37位という両極端な結果がはじき出されていることです(ちなみに、身体的健康の調査対象年齢は5歳から19歳、一方、精神的幸福度は15歳から19歳です)。精神的幸福度の調査対象年齢は15歳から19歳であるものの、ライフステージは連続的であることから、今後の幼児教育を考察するうえで、今回の調査結果は示唆に富むものと考えています。
 では、精神的幸福度に着目し、幼児期における子どもの精神的幸福度を高めるためには、何が重要かを考えます。この問題を語る際、巨視的な視点である、教育政策や子ども・家族向けの政策を含む構造的な観点は、一旦、横に置いておき、今回は微視的な視点である、日常の幼稚園おける「子どもの精神的幸福度」を俎上にのせたいと思います(しかしながら、構造的な観点は影法師のように常に付きまといますが今回はあえて触れません)。
 幼稚園における「子どもの精神的幸福度」を考えるうえで、重要なことの一つに、子どもが「自分はやればできる」と自信を持つことが挙げられます。傍証ではありますが、ある調査では、日本の子ども(高校生)は「自分はダメな人間だと思う」と答えた割合が調査対象国のアメリカ、中国、韓国の子どもと比べ、突出して高いといった結果からも、幼い時期から「自信をつける」ことの重要性は、推測できるかと思います。
 幼稚園において、子どもの自信につながる(であろう)事象は、いたるところに出現しています。例えば、友達や教員との関わりの中で、「ありがとう」と言われ、自分が誰かの役に立ったという喜び、遊びや保育のなかで、今まで出来なかったことを克服できた時に、褒め称えられたことによる達成感などです。つまり、子どもが自信をつけるためには、他者(友達や教員)との相互作用(関わり)の中で、認められたり、褒められたりすることを積み重ねていくことが重要です(典拠を示さなくても、誰しも褒められたり、認められたりしたことが自信に繋がったという経験をされているかと思います)。
 そこで、私たちは引き続き、子どもたちが「自信」を持ち、その「自信」を携えて、小学校に入学できるよう、精神的幸福度を含めた「子どものウェルビーイング」を追求していきたいと思います。
 最後に、子どもたちは発表会に向けて一生懸命、練習に励んでいますので、ご家庭ではたくさん褒めてあげてください。保護者さまの励ましのお言葉もお子様にとって「自信」の源泉です。